私が彼女に出会ったのは、3月末のことでした。
PCMAXというサイトを利用してます。
その日は夕方から商工会の総会があり、近所の料亭を借り切っての年に一度の食事会があったのです。
全国的に自営業者が減っていると言われますが、この地域でも例外ではなく、集まった中では40代の私が一番の若造でした。
あとは本当に70歳を過ぎた老人ばかり。
年々、高齢によって廃業したり、鬼籍に入られたりして、今では総会に来るのも20人程度になってしまいました。
年寄りとの会話はそれほど盛り上がるものではありませんが、タダで飲み食いできるというのは、酒好きの私にとってなかなか楽しみでもありました。
例年であれば、まるで老人会のようなその寄り合い。
しかし今年は、その中にはっと目を引く女性がいたのだから驚きです。
栗色に染めたショートカット、170センチの私と肩を並べる高身長、波瑠を思わせる、大きなの可愛らしい顔立ち。銀縁のスクエア型眼鏡が似合う、知的な女性でした。
「こんな可愛い子、いたっけ?」
私はビールを呑みながら、遠巻きにずっと彼女を眺めていました。
彼女は下心丸出しのジジイに囲まれていましたが、馴れた様子で適度にあしらい、しかし決して不快にさせることなく立ち回っていました。
聞こえてくる話によれば、名前は杉崎美佐、38歳、最近になって自宅でピアノ教室を始めたとのことです。
偶然ですが私のご近所で、その旦那さん(Kさん)のことはよく知っていました。
(なんだKさんの奥さんか……)
私は少しだけ彼女への興味が薄れていくのを感じました。
家は100メートルの距離、旦那は顔見知りで、お互いの子供も同級生。初対面といえど、彼女とこの先何かあるとは考えにくい状況です。
しかし、それが一転したのは、もうそろそろ会もお開きになろうかという頃でした。
気がつくと彼女は私の横に座り、「どうぞ」と酌をしてきたのです。
「ああ、ありがとう」
私は戸惑いながらも笑顔を返し、注がれたビールを飲み干しました。
「秀斗さん、ずいぶん強いんですね、お酒」
「いやぁ、美佐さんだって。さっきから勧められるままに呑んでるし」
そう、私が見ているだけでも、彼女はすでに相当な量を呑んでいるんです。
むらがっていたジジイどもはみんな泥酔して倒れていました。
私と美佐さんは年が近いこともあって、すぐに意気投合しました。
「よかったらもう一軒行こうよ、二次会」
誘ってきたのは美佐さんです。
私たちは密かに場所を移し、二人きりで呑み始めました。
お互い、すでに相当な量のお酒を呑んでいたせいか、それとも二人きりというシチュエーションのせいか、話はやがて男女関係のそれへと移っていきました。
「結婚して10年も経ったら、旦那なんてただの同居人だよね」
「へえ、じゃあもう旦那さんとはしないの?」
「するけどさ。なんかもう、義務みたいな感じ。秀斗さんのところは?」
「うん、まあ、そこそこかな」
「何それ」
美佐さんは苦笑しました。
話の流れ、酔いも手伝い、私は思いきって彼女の手を取りました。
「じゃあさ、俺とやろうよ」
美佐さんは一瞬驚いた顔をしましたが、すぐに笑顔で「いいよ」と答えました。
私たちは自覚している以上に酔っていたのでしょう。
向かったのは、歩いて行ける距離にあるホテルです。
部屋に入るなり、私たちは数年来の恋人のように唇をむさぼりました。
唇を離すと、美佐さんの目は眼鏡の奥で潤んでいます。その眼鏡を外したとき、私は「こんな可愛かったんだ」という新たな驚きに包まれました。
クラスにいた、眼鏡の優等生が、ある日コンタクトに換えたときの衝撃です。
私はもう、衝動のままに美佐さんの服を脱がしました。
スカート脱がすと、ストッキング姿がまたエロくて可愛いかったです。
ストッキングの中に手をいれると、パンティーの割れ目部分を指で上下なぞると濡れているのがわかりました。
耳元で、
「あああー!んっ!」
と切ない声が漏れて聞こえました。
可愛らしい声であったので、思わず抱きしめました。
美佐さんは38歳の子持ちと思えないほど整った体型を維持していました。
いつもはピアノを弾く繊細な指が、私の背中に絡みます。
二人とも我を忘れ、欲望のままに抱き合いました。肉を打つ音と、結合部分が奏でる淫靡で湿った音。
「いくよ、美佐──」
避妊のことはまったく考えませんでした。
もう、どうなってもいいという激しい快楽を求め、私はためらわず彼女の中に放出しました。
「ああっ」という喘ぎとともに、背中に立てられる爪。すべてを飲み込もうとするかのように、背中に廻す腕と膣壁が締め付けられました。
私は、美佐さんもイッたことを理解しました。
その後もお互いを求め合い、朝までに5回。我ながら、まだこんな体力があったのかと驚きです。
しかし、美佐さんとはこれっきりになりました。
何があったわけではありませんが、彼女の中で過ちを犯してしまった後悔の方が大きいのでしょう。
近所で会えば挨拶もしますが、この夜のことについては触れようとしません。
私としても関係が続けば面倒なことになるし、あえて誘うようなこともしませんが。
旦那さんであるKさんと会うたび、「あんたの奥さん、いただいてしまったよ」という、何とも言えない征服感を楽しんでいます。